高収入でも「余裕」とは限らない現実
- 年収1200万円(世帯年収1500万円)と聞くと、誰もが「相当余裕がある暮らし」を想像しがちです。しかし、都会で子育てをしながら資産形成を目指す30代男性にとって、高収入だからと言って油断は禁物です。所得税・住民税などの負担も増え、児童手当など一部の支援も減額されます。さらに収入に見合った住宅や車、教育への支出が増えれば、手取りの中で自由に使えるお金は意外と少なくなりがちです。
- 実際、同程度の収入でも「なぜこんなにカツカツなんだ?」と嘆く家庭もあるほどで、収入が高いからといって湯水のごとく使えるお金があるとは限らないのです。こうした現実を踏まえると、高年収のご家庭でも毎月の「お小遣い」設定には慎重さが求められます。家計全体のバランスを見極め、将来の貯蓄との両立を図りつつ、適切な範囲で自由に使えるお金を決めることが大切です。
お小遣い額の相場と目安を押さえる
- 「では一体、世間の同年代・同収入層は毎月いくらくらいお小遣いに充てているのか?」気になるところですよね。まず一般的な会社員男性のお小遣い平均は、各種調査によれば月3〜4万円程度と言われます。既婚者で子どもがいる家庭では、この平均はやや下がる傾向があり、実際には3万円前後が一つの目安とのデータもあります。意外に感じるかもしれませんが、収入が増えても育児や住宅費に回る分が大きく、お小遣いは横ばいかむしろ抑えめ、というケースが多いのです。
- とはいえ、高収入層では「平均より多め」の声もあります。あるアンケートでは世帯年収1000万円超の男性でも、最多回答は「月3〜5万円」という結果でした。ただし中には「月5〜10万円」使う人も存在し、高収入ゆえ比較的ゆとりを持たせている例も見られます。それでも10万円以上を自由に使う人はごく少数派で、大半は5万円前後に収めているのが実情です。
- ファイナンシャルプランナーなど専門家の提案する一つの基準として、「手取り収入の約5〜10%をお小遣いに」という目安があります。例えば世帯の手取り月収が80万円なら、夫婦合計のお小遣いは8万円程度までに留めるイメージです。夫婦それぞれに配分する場合、単純計算では一人あたり4万円前後になります。ただ収入規模や家計状況によって幅は持たせるべきで、貯蓄優先なら5%以下、生活にゆとりがあれば10%超といった調整もあり得ます。要は家計全体のバランスを見て無理のない範囲で決めることが肝心です。
シミュレーション:固定費と貯蓄目標から逆算する
お小遣い額を決めるには、家計のシミュレーションを行い「どれだけ余剰資金があるか」を把握することが有効です。毎月の手取り収入から生活に必要な固定費と積立投資(ここでは毎月30万円)を引き、その残りの範囲内でお小遣いを設定します。以下、手取り月収をボーナス除き約80万円と仮定します。
固定費が重いケース
住宅ローンや保育料などの固定費に50万円がかかると、積立投資30万円と合わせて月80万円でちょうど収支がゼロとなり、自由に使える余裕がほとんど残りません。現実的には固定費を50万円に抑えた上でボーナスから生活費補填を行うか、お小遣いはごく少額(数万円レベル)にせざるを得ない厳しい状況です。
バランス型のケース
固定費を40万円に抑えた場合、積立投資30万円と合わせて70万円で、手取り80万円から差し引くと残り10万円が自由度のある資金となります。この場合、夫婦のお小遣いは合計で10万円以内に収める必要があり、例えば夫6万・妻4万程度の配分が妥当です。ここでも資産形成を優先しつつ、最小限の余剰でお小遣いを確保するイメージになります。
ゆとりを作るケース
固定費を30万円に抑えると、積立投資30万円と合わせて60万円。残り20万円の余裕が生まれます。この範囲内であれば夫婦合計で12〜13万円程度をお小遣いに割り当てても、さらに7〜8万円の余剰が残せます。夫8万・妻5万といった配分なら、資産形成と生活のゆとりを両立できる理想的なバランスとなるでしょう。
以上のシミュレーションから分かるとおり、月30万円の積立投資を最優先に置いた場合でも、固定費の水準次第でお小遣いの取り分は大きく変動します。固定費が重いとお小遣いは数万円に抑えざるを得ませんし、支出を工夫できれば夫婦合計で10万円超も現実的になります。重要なのは「積立投資を死守しつつ、その上で残った余剰から逆算してお小遣いを決める」という考え方です。
お金の使い道で人生の充実度アップ
お小遣いを手にしたら、ぜひ「本当に自分が好きなこと」に使ってください。限られた可処分所得ですから、使い道次第で得られる満足感・幸福感は大きく変わります。どんなお金の使い方が人生を有意義にしてくれるのか、いくつかヒントを挙げます。
経験や思い出への投資
- 物よりも経験にお金を使うと幸福度が高まると言われます。ご家族との旅行や、友人とのアウトドア体験、自分へのご褒美としてのイベント参加など、心に残る思い出を作るための支出は有意義です。お小遣いの一部を貯めて、たまには奮発した旅行や体験に充てるのも良いでしょう。
自己成長・健康への自己投資
- 資格取得やスキルアップの講座代、ビジネス書や自己啓発のための書籍購入、スポーツジムや健康増進のための活動費など、将来の自分を高める支出もおすすめです。ただ浪費するのではなく、自分の価値を高める使い方は、長期的に見てもプラスになります。
趣味・息抜きに使う
- 仕事と家事育児に追われる中で、やはり趣味やリフレッシュの時間は大切です。昔から好きな趣味があるならそれを深めるも良し、新たな趣味に挑戦する資金にしても良いでしょう。たとえばガジェット収集やゲーム、楽器演奏、スポーツ観戦など、自分が心から楽しめるものにお金を使うのは人生の潤いになります。ここで大事なのは「他人が何と言おうと自分が本当に好きなこと」に使うこと。お小遣いなのですから、遠慮せずあなた自身の喜びのために活用しましょう。
交際費・人間関係づくり
- 会社の飲み会や同僚との付き合い、友人との定期的な食事会など、人との繋がりに使うお金も価値があります。30代は仕事上のネットワークを広げたり、子育て世代同士で情報交換したりと人間関係が広がる時期。たまの飲み代やプレゼント代などにお小遣いを使うのは、単なる浪費ではなく将来的なリターン(情報や人脈)に繋がる投資とも言えます。ただし闇雲に付き合いで散財すると本末転倒なので、自分にとって有益か楽しいと感じる範囲でメリハリをつけることが肝心です。
要するに、お小遣いの使い方次第で「お金を使った満足感」が大きく変わります。資産形成が大事なのはもちろんですが、お金は使ってこそ人生を彩る道具にもなります。毎月決まった額の中で、「これは有意義だった!」と思える使い道に優先的に充てることで、高収入の恩恵をしっかり実感できるでしょう。
夫婦で納得できるマネールールを
- お小遣いの適正額を考える上で忘れてはならないのが、夫婦間の合意とバランスです。今回は「財布は共同管理だが、妻のお金の使い方に口出ししない」とのことですので、基本的にはオープンで信頼関係のある家計管理をされている印象です。その上で、お互いが納得できるルール作りを意識しましょう。
- 重要なのは「お互いが納得できているかどうか」です。もし奥様がご自分の収入を自由に使えているなら、ご主人もそれに見合う範囲で自由裁量を持っていいでしょう。ただし高額なお小遣いを自分だけ使えば、いくら奥様がおおらかでも心情的なわだかまりが残る可能性もあります。極端な例を言えば、夫が毎月10万円好きに使う一方で妻は1〜2万円しか自由に使えないとなれば、どこかで不公平感が生じかねません。そうならないよう、「互いに公平と感じられるライン」はどこかを話し合っておくと安心です。
- また、お小遣いの定義を明確にすることも大切です。 たとえば「夫の昼食代やスマホ代はお小遣いに含めるのか?」「被服費や美容費は家計から出すのか個人負担か?」といったルールを決めておくことで、お小遣い額の妥当性がぶれにくくなります。昼食代込みで月5万円では厳しいけれど、昼食は別なら5万円で足りる、といった具合に必要額が変わるためです。最初にお小遣いで賄う範囲を夫婦で擦り合わせておきましょう。これによって「今月は何にいくら使った」と一々チェックし合う必要もなくなり、健全なお小遣い制が続けられます。
最後に、お小遣い額は一度決めたら終わりではなく、ライフステージや収支状況に応じて見直して構いません。お子さんの成長につれて教育費が変わったり、収入がアップダウンしたりすれば、適正なお小遣い額も変化します。ご夫婦で定期的に家計を振り返り、「今のままで貯蓄ペースは順調か?」「ストレスなくやりくりできているか?」を確認して、お小遣い額やルールも必要に応じて調整してください。二人の合意を大前提に、柔軟に対応していけば大丈夫です。
結論:私にとって適切なお小遣い額
以上の検討を踏まえると、私の場合はの適切なお小遣い額は月約5万円前後が一つの目安として導き出せます。これは平均よりやや高めながら、世帯収入規模や資産形成を考慮すると無理のないラインです。月5万円程度であれば、ご自身の趣味や交際費にある程度充てつつも、家計全体として年間かなりの貯蓄ペースを維持できるでしょう。
もちろん、この5万円前後という額は絶対的なものではありません。生活コストに余裕があり「もう少し楽しみにお金を回したい」という場合は月6〜8万円程度まで増額しても良いでしょう。逆に「できるだけ早く資産1億円を目指したい」「マイホーム資金を優先したい」など貯蓄最優先でいくなら、月3〜4万円に抑えるのも選択肢です。要は家計の余裕度とご本人の価値観次第で微調整してOKです。